第一次世界大戦後、急速に発達した補綴医学はまたたく間に世界中に伝播し、社会を一周して怪物として戻ってきた。
事故・戦争その他の原因による外傷、先天的な身体障害、結核、癩病、心不全・腎不全・肝不全などの慢性臓器障害、そして腫瘍による切除といった余儀ない必要性から、機械で再現された肉体のかけらが産み落とされていく。そうした人体の機械化と並行して顕在化した現象こそが、機械の人体化である。
大型義体用の人工臓器が転用されたこの戦闘爆撃機は、人体に対する視点の転換を示すひとつの例にすぎない。人体の部分それぞれを総体的にとらえるという新たな視線こそ、義肢が単なる医療器具でありつづけることを許されずに、やがて悲劇的ともいえる展開をみせることになる原因となる。
義肢は、もはや人体の補綴物として捉えられていなかった。ここでの義肢は、新たな不足に対してより、新たな必要に応えていたのである